フェンスの向こう


「紗英っ」

振り向いて見た優汰の顔は、少し悲しそうに笑っていた

「辛いことがあったら、すぐに言えよ?」

「…うん、ありがと」

優汰がサッカーゴールの方に走っていくのを、私はフェンス越しにじっと見つめていた