「木原くん、落ち着いて! 私が話すから!」


「はぁ?」


「中越くん、来て!」


京子はそう言うと、祐樹の手を掴み外へと連れ出した。
木原は不満そうな顔しながら祐樹を睨み付けていたが、
それ以上は関わらない方がいいと思ったのか、後は追って来なかった。


「中越くん、一体何があったの?」


「えっ!?」


木原が女の子を口説いていたなんて言えるはずがない。
あんな奴でも京子さんの彼氏、そんなことを知れば京子さんはきっと傷付く。


「何でもないです。」


京子さんの問いにも、俺は頑なに口を拒んだ。


「はぁーっ・・・」


すると京子さんは一つため息を吐き言った。


「私と木原くんとのこと、知ってるんだね?」


「えっ!?」


「じゃないと中越くんがあんなことするわけない。でしょ?」


「京子さん・・・」


「私のこと心配してくれてるんやね? ありがとう。」


「・・・・・」


改めてこんな風に礼を言われても困る。


そんな謝るより、あんな奴とは別れて別に良い人を・・・