「おい、放せや。」


木原の声は口説いていた時と違って低くなり、
苛立ちを募らせているのがわかる。
そんな木原の態度にも動じず睨みつけたまま腕を掴む祐樹。


「放せって言ってるやろ!」


木原は堪らず祐樹の手を払い除けた。


「なんやねんおまえ?」


「こんな最低な奴に引っ掛かるんやないで。さぁ行き。」


祐樹はそう言うと女の子をその場から追い払うように腕を軽く押した。
女の子は状況が呑み込めずオロオロしながらその場を去って行く。


「どうゆうつもりやおまえ? なんで邪魔すんねん?」


「おまえ、嫁おるんやろ? それに彼女も・・・」


「なっ・・・、なんで知ってんねん?」


木原は驚いたように目を見開いた。


「なんでもええやろ、そんなん。」


「チッ、京子か・・・」


逆ギレしながら京子さんの名前を呼び捨てて呼ぶその態度に、
俺はカチンと来て「おまえなぁー!」祐樹は木原の胸倉をグッと掴んだ。