「くっそ! なんであんなもん見なあかんねん!」


祐樹は駅まで辿り着くと、改札口を抜けた。


まだ頭の中に、さっきの光景がくっきりと残っている。
祐樹はそんな光景を振り払うように首を横に振った。


くっそ・・・


なんとも言えない悔しさみたいなものが込み上げてくる。


「祐樹。」


すると、誰かが俺を呼び止めた。振り返ると・・・



えっ!?


「由岐・・・?」


改札口の隅っこに由岐がちょこんと立っていた。


なんで由岐が?


「どうして・・・?」


「もう、ずっとここから見てたのに全然気付いてくれへんし!」


由岐はぷぅと頬を膨らませた。