何も考えられない。


放心状態のまま、歩いて来た街灯の続く通りを帰る祐樹。
本当にただふらふらと歩いている、
まるで心が通っていないそんな目をしながら。


やっぱり由岐はあんなことをする女やったんやな・・・
あんだけ大丈夫って言ってたのに、信用してって言ってたのに・・・


俺、あいつの友達にどんだけ言われたよ? 
どんだけ責められた?


その結果がこれかいや・・・


そうやって考えるとだんだん腹が立って来て、
怒りが込み上げて来た。


「くそっ!」


なんでやねん! なんであんなことするねん!


なんであんなこと言われてまで俺は・・・


今までのこと、何もかもが甦って来て怒りが更に込み上げてくる。
と、同時に自分自身が情けなくなった。


由岐を信用しようとしてた自分が、
一方的に言われた友達の言葉が!

いや、俺は由岐を信用してなかったわ。
好き過ぎて、ずっと不安に感じてたわ!


結局は自分だけが由岐を大好きやったんやなぁ・・・


そんな自分が本当に情けない!


いろいろ考えて由岐を恨んでも、結局は惚れた俺の弱みや・・・


もう、やめよう。 

なんか疲れた・・・由岐とはもう終わりにしよう。


俺は湧き上がる怒りさえ、もうどうでもよくなっていた。