「それより阪井くん、あの後大丈夫だったの?」


「剛彦ですか? さぁ、昨日はあの後、
連絡してませんからわからないですけど・・・
どうかしましたか?」


「うん・・・ 
中越くんたちが帰った後、阪井くんと美枝ちゃん、いつの間にかいなくなってたのよ」


「えっ!? 二人でですか!?」


「うん・・・」


剛彦、おまえ何やってんや・・・


「美枝ちゃんも、悪い子じゃないんだけど・・・」


陽子さんは美枝さんの名前を口に出すと、
不安そうな表情を浮かべた。


「あのぉ~陽子さん、美枝さんってどんな人なんですか?
噂だと遊び人だとか・・・」


「遊び人ってわけじゃないよ? 
やさしくていい子だし。
ただ、ちょっと構い過ぎるととこがあるというか、
母性愛が強いというか・・・」


母性愛!? 

なんだそれ?


「とにかく、何かあってからでは遅いの。
美枝ちゃんも人妻なんだし。
だから中越くん、阪井くんにはちゃんと忠告してあげてね?」


「はい、わかりました」


剛彦、まさかおまえ・・・
一線越えてないよな?


俺は不安な気持ちで剛彦の出勤を待った。