その後、彼とセックスをしてしまったのだった。…カラオケなんかで処女を失くすのは、今思うと恥ずかしくって仕方ない。

唯が来る頃には、私と彼は付き合うことになっていた。

「ごめんね〜!遅くなっちゃった!」

「お疲れ〜。さ、歌おうぜ〜」

彼と私がくっついているのを見て唯は少し苦い顔をしていた。
それを私は見て見ぬ振りをしていた。


…夏休みも終盤に入りかけていた八月下旬。


唯は私と口をきかなくなっていた。
メールも電話も、みんなで遊ぶときも誘われなくなっていた。

…原因は、私と雄二さんが付き合ってることにある。
実は、彼は私と付き合う前日に、


…唯と会ってセックスしていたのだった。

人間不信どころじゃなかった。もう何も信じたくなかった。
彼はそのことを私に一切話さずに付き合っていたのだ。

…どういう状況か、わからなくなった。

詳しく説明すると、彼と唯が出会ったのはソーシャルネットワークで、二年くらいの付き合いになるそうだ。
しかも、唯の好きだった人らしい。

ある日、ゲームの話かなんかで再び話すようになり、会う約束までしていた。
それが、私と付き合う前日の話だった。
一緒にお酒を飲んで、酔っ払った勢いでヤったらしい。
挙句の果てには、唯から告白をした。

彼曰く、

「ヤったことは、全然覚えてない。唯から告白はされたけど、俺興味なかったからさ。タバコ吸う女の子って好きじゃないんだよね~」

だそうだ。
唯からは真逆の答えが返ってきた。

「雄二さんが酔った勢いで、あたしを押し倒したの。告白だってあたしからしたんじゃないし。雄二さんからだし。…あたしがすきだったのにさ、涙が雄二さんのこととるからさ」

何様のつもりじゃ。
だいたい、彼女は私に雄二さんが好きってことを一切口に出していない。
私らが付き合ってからそういうことを言うのはおかしいと思った。
理不尽にもほどがある。

雄二のほうも言ってることがあやふや過ぎてどっちが本当なのかわからなくなっていた。