そう。あたしには仁がいる。
仁より好きかって聞かれるとまだ分からないけれど、
暁斉が好きだということは確かだった。
でもそうなると仁はどうなるの?
あたし、二股?浮気?
自分が二人の人を好きになるなんて思ってもいなかった。
こういう場合、どうしたらいいの?
「アンタの世界に思い人がいるのは知っているさ。
それでも、この時代にいる間は
あいつを好いてやっていてほしい。
それこそ、その思い人を忘れてしまうほどにな」
この時代の間だけ……。
芳さんの言葉を反芻させて胸に手を当てる。
この気持ちはあっていいものなんだと、
芳さんがそう言ってくれている気がする。
「まずは礼を。ありがとう。
これであいつは、暁斉様は救われるさぁ」
芳さんに抱きしめられる形で乗っているあたしは、
背中からの温かい歓迎の言葉に胸が温かくなった。
芳さんの鎧を見て、暁斉の鎧姿を思い出す。
赤地の鎧は、炎が燃え上がっているように見えた。
生き抜く覚悟を決めて、闘志を燃やす色。
どうかその肌がその鎧のように赤く染まらなければいいと思って、
目を閉じて祈った。
無事に帰ってきますように。
そうしたらあたし、あなたのお説教でもなんでも
黙って聞いてあげるから。
だから帰ってきて。
あなたが首だけにならないように、
今はただ、ここで願うしかなかった。


