―ゆき・・・―






なんだか酷く頭が痛い。


頭を押さえて目を閉じると、
その声がより強く強く聞こえた。








―俺はここにいるぞ―






切なげな声が、ひどくはっきりと。









―この身が滅んでも俺は・・・・っ―









「誰・・・?」


思い切って声をあげ、辺りを見回す。


誰もいないことを、このひっそりとした
静寂が教えてくれる。





ふと、

足元に何かが落ちているのに気付いた。




それは少し厚い、それでいて脆そうな古紙。


拾い上げると、中からは砂埃が数かにこぼれた。




何だろう・・・。


手紙?


でも、一体いつのものなんだろう・・・。






もしかして、この本の中から?




何故かはわからない。


わからないけどそれでも、
中身を見てみたいと思った。


それは多分、あたしの生まれ持った性格のせいだと
そう思うけど。


「開けちゃうよ?
 誰だかわかんないけど、ごめんなさい」





そっと呟いたあたしは、中身を見た瞬間言葉を失った。



だって、それは・・・・。







「な・・・・にこれ・・・・っ!?」







あってはならない、ううん。





あるはずのないものだったから。