「前にも言ったなぁ。
好きか嫌いかの二択しかないのさ。
前は別として、今は好きの一択なんじゃあないのかい?
好いてしまったと認めてしまえば、楽なんじゃないのかい?」
馬に揺られて、ぼうっとしてくる。
好きか嫌いか。
そういうことならば、あたしはきっと
出会った時から好きだったんじゃないかと思う。
だって別に嫌いだっていう感覚はなかったし、
単純に暁斉のことすごいなとか思うことだってあった。
好きか嫌いかで言ったら嫌いではなかったんだよね。
ただ、本当に好きかって聞かれると
素直に好きだと言えない自分がいて、
ずっと否定するために
それっぽい理由を探していたのかもしれない。
あたしは、暁斉が……。
「……好き」
ポツリと言葉を落とした。
「好き、だから……戦に行ってほしくない。
雪姫様みたいにあたしも、
暁斉に行ってほしくないって思ったの。
ただ単純に……寂しかったし、
この手の中にいてほしいって思って、それで……っ」
一度言葉を落とすと溢れて止まらなくなる。
じわりと、涙が滲んだ。
行ってほしくない。
ただ単純に、寂しいだけ。
いなくなってしまったら、悲しいだけ。
「それでいいのさ。
アンタはその想いを貫いてくれればいい。
雪姫からあいつを引き離してくれれば、それでいい。
姫さんの想いは、我慢しなくていいものなのさ」
「でも、仁が……」


