「確かにそのようなことを書いた文はある。
 しかしどこにも届けていない。
 俺がしっかりと燃やしたはずだからな」


「そんな手紙がどうして……」


「分からん。だがそれが
 俺たちがたいむすりっぷをしたきっかけになっているかもしれんな。
 お前のところに俺の文が届き、
 お前がそれに返事をしたから飛ばされた。そうとしか思えん」


「じゃあ、戻り方は?
 どうして二つの時代を行き来するの?」


「だから、それは分からんと言っているだろう。
 もしや何か使命があって飛んでいるのかもしれんしな。
 お前か俺のどちらかが、どちらかの世界で
 何かやり遂げたら元に戻るかもしれん」


使命か。確かにその線はあり得る。
そしてそれはもしかしたらあたしの側にあるのかもしれない。


たまたま図書室であの手紙を見つけなければ、
こうなることはなかったのかもしれないのだし、
なんかこう、勘なんだけれど……。


「俺はこの時代にいる間は、何か探ってみることにする。
 お前が向こうで探るのは危ないからな。
 もしかしたら俺の方に使命とやらが存在するのかもしれない」


うーん、と大きく伸びをした暁斉を見て、胸がざわつく。
何気にあたしのことを心配してそう言ってくれていることが分かるから、
余計モヤモヤする。


違う。その使命はあたしの側にある。




















私がもしも、武士でなかったなら























もしかしたらあたしは、暁斉を助けるために飛んだのかもしれない。
と、唐突にそう思った。