「由紀、ごめん!こいつら、
俺の後を追ってついて来ててさ」
横にいた仁が手を合わせてあたしに謝る。
仁に非が無いのは分かる。
きっとこの子たちが黙ってついてきたんだから。
何も謝ることはない。
でも、この状況どうしよう。
暁斉の存在がバレてしまった。
まあ、あっちの世界ではあたしの存在が
いろんな人にバレているから何も心配することはないだろうけれど、
未来人のあたしがあっちに行くのと、
歴史上の人物である暁斉がこっちの世界に来るのとじゃあ、
ちょっと状況が違う。
だって得体のしれない喋り方や文化のあたしがあっちに行っても
不思議に思われるだけだけれど、
昔の人として知っている暁斉がこっちにいると
確実に昔の人だってバレてしまうわけで。
制服を着ているからなんとかバレないだろうけれど、
話し方でボロが出たらまずい。
「あきな……暁!探したんだから。
転校初日に何迷子になってんの!ほら、行くよ」
「由紀。迷子になどなっておらん。
お前がここにいろと言ったのではないか」
「仁!あとよろしく!」
「お、おう」
少し困り顔の暁斉の手を引っ張って図書室を出た。
後ろから文句を言う女の子たちの声が聞こえるけれど、
そんなの気にしていられない。
ああ、でもこれでますます嫌われる。
アイスドールの春日さんは酷い奴認定でもされそうだ。