―――ゆき、ゆきっ――― ほら、また、声がする。 ―――俺は、まだ、死にたくなど――― あいつの、声が。 ―――ゆき!――― 「暁斉」 私がもしも、武士でなかったなら ―――ゆき――― 違う。これじゃあ、届かない。 「暁斉」 あなたの、本当の名は― 「博仁!」 * その名を呼んだ。 こっちを向いてほしくて、ひたすらに。 届いたのか届かぬのか あなたの呼ぶ声が、聞こえた。