ポツリとそんな言葉を呟いていた。
だって暁斉は言っていた。
今度の戦は自分が指揮を執ると。
それって大将軍になってリーダーを務めるってことでしょう。
もしも負けてしまったら、そうなった時と言うのは暁斉が死んだ時。
もしそうなったら……。
「我が軍の軍勢はそんなに多くありません。
そのような軍勢で攻め込むのは難しい。
おそらく、あのお方はどういうことを意味するのか分かった上で
鎧を着ています」
「じゃあ、やめさせましょう!こんなことやめよう。
戦をしなくたってみんな生きていけるわよ。
話し合えばいいじゃない。分かり合えばいいことだわ」
「それは、出来ないのです。
そんな生ぬるいこと、誰も望んでおりません」
「だって!殺し合うことが正当だなんて信じられない!」
「そのようなことは世迷言です。
あなた様の御国では戦はないと言うのですか?」
則暁くんが眉を顰めてそう言葉を落とした。
本当は、そう簡単にホイホイと言ってはいけないことなんだろうけれど、
叫ばずにはいられなかった。
「あたしはこの時代の人間じゃないもの!」
「な、何を……」
驚いたように目を見張った則暁くん。
あたしの言葉を反芻させて戸惑いの色をその瞳に宿す。
首を傾げてあたしをじっと見つめていた。
「あたしは、もっとずっと遠く。
四百年以上後の未来から来た人間よ」
「よん、ひゃくねん……」
「あたしの時代には、戦なんてない!
みんな平和に暮らしていて、何一つ怖いことなく生きているのよ。
話し合いで何もかもを取り決めて、争わないように暮らしている。
あたしが一番最初に着ていた制服。
あれを着て暁斉や則暁くんの年齢の子は勉強をしているの。
刀なんて持たなくてもいいのよ!」
唇は震えているのに、落としたい言葉がするすると出てくる。
あたしの話を黙ってじっと聞いていた則暁くんは
更に眉を顰めてあたしを見たけれど、それ以上何も言わなかった。
この静寂を打ち破ったのは、澄んだ綺麗な声だった。
聞いたことのある、声。
「博仁様!博仁様!」


