真紅の空




そう問われて思わず目を見張った。
あたしが、暁斉を好きかどうか?
どうしてそんなこと聞くのよと思ったけれど
口には出さずに目だけで問う。
すると芳さんはあたしの気持ちを汲んだのか、
柔く笑って言った。


「雪姫の呪縛から解き放てるのは、
 未来から来たあんただけだと思ったのさ」


「そ……んなの、知らない。
 暁斉のことはむかつくけど、嫌いじゃない。
 でもそういう意味で好きかって聞かれたら、そうじゃない」


「……この世にはな、姫さん。
 好きか嫌いかの二択しかないのさ。
 まぁ、よく考えてくれよ。あいつを救えるのは、
 もう姫さんくらいしかいねぇのさ」


芳さんはいつになく真剣な顔をしてそう言った。


出会ってから気の抜けたような表情しか見てなかったから、
こんな顔されると戸惑う。


雪姫様と暁斉の間柄がどうこうっていう問題は分からなくもないけど、
第三者が介入しないといけないようなことなのかしら。
どっちにしたって、あたしはその役目は果たせないと思う。
だって、あたしは暁斉とどうこうなるなんて考えられないもの。


「って、これから帰るかもしれない姫さんに言ったって
 仕方のないことかね。今のは忘れてくれていい」



芳さんはにいっと笑うと、
そのまま前を向き直って歩き出した。その時。





「戦だ!戦が始まった!」





誰かの声が聞こえた。
弾かれたように、芳さんが声のした方を振り返る。
私を押しのけて暁斉のいる部屋へと転がり込んでいった。


「暁斉様!戦の開始でございます」


「ああ。すぐに行く。鎧の準備を」


「はっ!」


何が何だか分からないうちに、暁斉が鎧に着替えていく。
戦って、戦よね?
始まったって、こんな急に?
まだ心の準備も出来ていないのに。