「それはそうと、お前は芳のところへ行け。
芳に事情は話しておいた。
芳なら何か知っているかもしれん。
お前の元の時代へ返す方法とかな」
「芳さんは一体何者なの?」
「ただの俺の家臣さ。一のな」
にいっと笑う暁斉。
こうして笑ったところを見ていると
本当に信長なんかの家臣なんだろうかと思う。
本当に、結城家の次期当主なのかと。
まだ子供じゃない。あたしと同じで。
刀なんて持たないで、鉛筆を持って勉強しておけばいいのに。
「芳!芳はいるか」
「ここにいますよっと」
暁斉が呼ぶと芳さんはすぐに音もなくやって来た。
いつの間にいたのって思うくらい、静かに。
「これはこれは、由紀姫さん。
どうだい、この時代には慣れたかい?」
「ひ、姫って……そんなんじゃないけど。
まぁ、慣れたと言えば慣れたかな」
「俺にとっては姫さんさぁ。こいつの特別なお方だからなぁ」
特別?そう思って首を傾げる。
すると慌てたように暁斉が芳さんの口を塞いだ。
「余計なことは喋らんでいい。
芳、こいつの帰れる方法を模索してくれ」
「承知しましたよっと。じゃあ姫さん、俺についてきな」
芳さんはにやにや笑うと暁斉にひれ伏してから
私をこいこいと呼んだ。
それについていくと後ろで暁斉が則暁くんを呼ぶ声がした。
また音もなく則暁くんが現れる。
ここの家臣はなんでこう静かに忍びのように現れるんだろう。
洗練された佇まいに脱帽する。
暁斉のいた部屋から出て廊下を歩く。
すると芳さんが急に立ち止まった。
「で?姫さんはあいつのこと、どう思うんだい?」
「えっ?どうって?」
「あいつのこと、好きかい?」


