「いい?ここで何もしないでじっとしてて!
 休み時間の度にあたしと仁がかわりばんこで来るから」




授業が始まる少し前、あたしたちは図書室へと来た。


仁が扉の前で見張ってくれてる中、あたしは
暁斉になんとか状況を説明することに・・・。



「やすみじかんってなんだ?
 それに、お前じゃなくて仁が来るのか?」


暁斉は明らかに嫌そうな顔をしてそう呟いた。


「休み時間っていうのは、休憩のこと。わかる?
 何?仁が来るの嫌なの?」


「休息のことか。それくらいならわかる。
 ・・・嫌も何も俺のことを知らないだろう。あいつは」


それもそっか・・・。


こいつも一応、動揺はしてるんだね。


なんか、ちょっとだけ安心したかも。


でもそうすると、あたしが毎回ここに来なきゃ
いけないっていうことになるよね?


めんどくさい。


どうしてこんなことに・・・。


「それより、ここは面白そうな場所だな」


「え?」


「ここにある本は、好きに見てもいいのか?」


「えっ・・あ、うん。別にいいけど・・・。
 あんた、本とか読むの?」


「悪いか?こう見えても俺は文学に興味がある」


へぇ。意外。


でもこの人、現代の文字とか読めるのかな??


なんて、そう思いながら見つめていると、
ふとこちらに視線を移した暁斉と目があった。


鋭くも優しい目が、あたしを捉える。


「どうかしたのか?」


「えっ」


声をあげる間もなく、
暁斉の顔がすっと近付いた。


その顔はどこか寂しげで、
暁斉があたしの手にそっと触れた。


「・・・由紀」


「あ、あきな・・・―」














「雪・・・・」