学校までの道のりを3人で並んで歩く。


あたしの両隣には、似た声で喋る男が2人。


「じゃあ・・・暁は何が好きなん?」


「嫌いなものなんてあるわけないだろう」


「マジで?お前すげぇな!?なぁ?由紀」


「おい由紀。こいつは静かにできないものなのか?」



「2人ともちょっと黙ってよ!!」



あたしが叫ぶと、2人は同時に口を閉じた。


しんと静まり返る中、ただ足音だけが妙に響く。


そこで素直に黙らないのが仁。


大きく笑うと口を開いた。



「やっぱお前、最近可愛くなったな?」


「は、はぁ?」


「かーわいい」


「や、やめてよ。仁」


「あ。そういえば、暁。
 こいつ、どうすんだ?学校で」


「え?」


「がっこう・・・」





暁斉はさっきから“学校”が気になって仕方ないみたい。


それはそうだよね。


あっちの時代に、高校なんて存在してないもん。


きょとんとしている暁斉はびしっとした緊張感はなくて、
制服を着ているからか、普通の男子高校生みたい。


小さく笑うと、暁斉がじろっとあたしをにらみつけた。


「あー・・・。どうしよう・・・」


「どっかに匿ってみる、とか?」


「どこかって・・・どこよ」


「学校の敷地内で、誰も来なそうなとこ?」




誰も来なくて、隠れていられる場所・・・?



暁斉を何気なく見たとき、あたしはふいに
ある場所が浮かんだ。



「・・・図書室は?」


「え?」


「と・・・しょしつ?」


「そう。図書室!!」