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「・・・おい!2人とも急げ!!」




「え?」




はっと我に返ると、目の前には仁がいた。


どういうこと?


ここは懐かしのあたしの部屋で・・・。



まさか、また戻ってきた??


2人ってことは、あいつも一緒!?


まさかと思って隣を見ると、
暁斉が驚いた様子で仁を見上げていた。


「由紀!!あ~・・・と、暁!早くしろ!!
 学校遅刻する!!」


「がっこう・・・?何だそれは」


「あー!!あきな・・暁!!
 とりあえず黙ってお兄ちゃんの制服に着替えて!」


「は?ちょ・・・おい、由紀!!」




目まぐるしい展開についていけない様子の暁斉は、
喚きながらもお兄ちゃんの部屋に押し込められた。


あたしが、押し込めたんだけどね。



部屋に仁と2人きりになるあたし。


しんと静まり返った部屋が居心地を悪くしていった。



「あの・・・仁、あのね」


「待て。・・・いいから。
 何か事情があるなら何も聞かない。
 あいつは俺の弟、ってことになってんだろ?
 今はそれでいいよ」


「え・・・」


「心配すんなよな。
 ちょっとは俺のこと頼ってくれよー」


仁がそう言ってあたしの頭を撫でる。


何だか不思議。


こんなおかしな現象の中であたし、変わっていってる・・・。



仁のこと、こんなに意識する自分がいるなんて・・・。








「おい!これはどうやって着るものなんだ!?」


隣の部屋から、暁斉の怒鳴り声が聞こえた。


あたしと仁は顔を見合わせて、
それから仁は大きく笑った。


「あいつ、制服の着方も知らねぇのか!?」


「じ、時代遅れなのよ。あいつ・・・」


「さーてと。お兄ちゃんが協力してやるかな?」


「仁!!」


「はは。お前は下で待っとけ。な?」


「ありがとう。仁」













全然わかんないけど。



どうしてこうなるのかなんて何にもわかんないけど。



あたし、春日由紀はもう1度、


この現代へと戻ってきたの。



あいつと一緒に。