「ゆう・・・き・・・?」





しんと静まり返るその部屋の中で、
則暁くんの声がそっと響く。


結城春仁??


則暁というのは偽名?


でも、どうして・・・??




「驚かれるのも無理はないと思います。
 私のこの名は、暁斉様さえも知り得ない名なのです」


「え・・・っ」







「私はこの世に生まれ落ちてからずっと、暁斉様の
 お傍にいました」













“生まれ落ちてからずっと”



何それ・・・訳わかんない。


あたしはびっくりして何も言えなかった。



そんなあたしを静かに見据えて、
則暁くんは続けた。



「由紀殿・・・。貴女は、私から何を聞いても
 黙っていてくれると約束していただけますか?」


「え?・・・・・・うん」


「ありがとうございます」



頷いたあたしを見つめて微笑んだ則暁くんは、
一度、目を閉じてからゆっくりと目を開けた。


「ではまず、何か聞きたいことはありますか?」


「え・・・?」


「貴女が聞きたいことから、お話しします」


「えっと・・・」





聞きたい事?


そんなの、
いっぱいありすぎて何を聞けばいいかわかんないよ。


困っていると則暁くんと目が合ってしまって、
居た堪れなくなったあたしは咄嗟に口を開いていた。


「じ、じゃあ!あいつとの関係とか!!」


「あいつ・・・とは、暁斉様のことですね?」


「そう!本当は、主従関係だけじゃないのかなって
 思ったから・・・・」



「・・・承知致しました。では、
 私の話をしましょう」


「お願いします」




思わずあたしも座りなおすと、
則暁くんは背筋をのばして口を開いた。











「私は結城家の長男、結城春仁」








「え・・・っ」













「歳は18。暁斉様は、私の双子の弟」












「の、則暁く・・・」
























「私は、暁斉様の兄、結城春仁」