その声に、則暁くんが反応して視線を移した。


外に、誰か来てるの・・・?


「則暁くん・・・?」


「申し訳ございません。少々お待ちを」


則暁くんはそう言ってあたしに頭を下げると、
身を翻して外に出た。


なんか、
こうしてみると則暁くんも大人っぽいんだなぁ。



上品な身のこなしが素晴らしいと思うよ。うん。


でも、誰が来たんだろう・・・。


あたしがそう思っていると、
外から大きな声が聞こえた。


「いけません!暁斉様は今し方出発なさいました」


「でも!私はあの方のお顔を見たいのです!!」



「姫!!」







姫・・・?



もしかして、今外にいるのは・・・。



“お帰りください。雪姫様”




夢に出てきた、お姫様・・・っ!?




体が勝手に動いた。


その姿を見てみたくて。



気付くとあたしは門前で向かい合う
則暁くんと女の人を


遠くから眺めるように覗いていた。





「わかりました。追うことはしません。
 ここでお帰りを待たせて頂きます」


「な、なりません!!」




「え・・・?」



嘘・・・。



どういうこと??



状況は一変して、
女の人がこちらに向かって歩いてきた。


どうしよう、隠れなきゃ!?



おろおろしていると、女の人が
あたしの姿を見つけた様子で、


びっくりした顔をして立っていた。