「あの、どこか体の具合でも??」


「・・・・・え?」



突然聞こえてきた声に、びっくりして目を開ける。


「うわっ!?」


すごく近くに則暁くんの顔があって、思わず声をあげた
あたしに、則暁くんは驚いた。


「も、申し訳御座いません!!
 驚かせてしまいましたね」


「う、ううん。別に大丈夫・・」



本当は大丈夫なんかじゃないよ!!


なんか則暁くん、何気に近くて困る!


「大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫だから・・・その・・・」


「由紀殿??」


「ち・・かいからっ!」


あたしが頑張ってそう言い切ると、
則暁くんは固まった。


そして段々赤く染まる頬・・・。


なんだろなーこの子。


調子狂っちゃうじゃない。


「すみません。お恥ずかしい話ではありますが、
 私は耳が良くないもので・・・。
 こう近付かなければ良く聞こえないのです」



あ・・・。


そうなんだ・・・。


なんか、なんか・・・。


「ご・・・・めん」


「いいえ。お気になさらず」


「でも、ごめんなさい」


「・・・では、一つお伺いしてもよろしいですか?」


「え?うん」









「暁斉様・・・!!暁斉様!!」








則暁くんの声をかき消したのは、
少し細い、女の人の声だった。