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「失礼します!!」








そんな声が、耳に入る。



はっと我に返り目を開ける。



「な・・・っ!?」



目の前にいたのは仁ではなかった。


というより、ここは・・・。



「の、則暁くん・・・っ!?」



目の前でおかしなものを見るような顔をした
男の子は着物を着た則暁くん。


何が何だかわからなくて目を丸くする。


なんで?


どういうこと?



さっきまであたしは・・・。



「由紀殿?何か??」


「え?いや・・・別に・・・」







はっと我に返ると、固まっていたのは
あたしだけじゃなかったみたい。


あたしの横にいたのは暁斉で、
則暁くんを見て目をぱちぱちさせていた。


「則暁・・・。何故ここにいる?」


「何故・・と言われますと?」


理解できないというように、
則暁くんが困った顔をみせた。


「どういうことだ・・・?」


「暁斉・・・」


あたしと暁斉が顔を見合わせていると、
則暁くんが声をあげた。



「申し訳在りません!
 お先にご報告が御座います!!」



則暁くんが片膝をついてそう言うと、
暁斉は一度息をついて姿勢を整えた。


「聞こう。どうした?」






すっごい・・・。


状況を把握できていないにも関わらず、
堂々としたその態度は真似できないわ。




あたしがぼけっとその様子を見つめていると、
則暁くんが続けた。



「信長様より文が届きました!
 既に準備は出来ております!!」



信長??


織田信長の、手紙・・・?



「わかった。すぐに行こう。
 則暁、芳を呼べ。
 お前は由紀の世話をしてやってくれ」



「はっ!!」