「おい、起きろ」
誰かに起こされて目を開ける。
目の前には呆れたような顔をした暁斉がいた。
慌てて体を起こすと、部屋にはあたしと暁斉の二人きりだった。
今何時だろう。
部屋が明るいところを見ると、まだ夜にはなっていない。
則暁くんはどうしているんだろう。
「どうした?顔色が悪いぞ」
「えっ?ああ、うん。大丈夫」
「そうか。則暁にでも何か妙薬を貰ったらどうだ?
疲れが取れる薬だとか、気分を落ち着かせる薬だとか、
あいつならいろいろ詳しいぞ」
則暁くんの名前が出てわっと涙が込み上げる。
その則暁くんが今夜いなくなること、貴方は知らないでしょう。
もっと則暁くんとの時間を大事にして。
そう思うけれど言葉にならない。
言ってしまったら、みんなの苦労が水の泡だ。
無駄にしないように我慢して、大丈夫よと笑ってみせる。
暁斉は首を傾げてあたしを見つめた。
「そう言えば、則暁がいないな。どこに行ったんだ?」
えっ?と思って目を見張る。
額にじわりと嫌な汗がにじみ出た。
もしかして。もう行ってしまった?
夜だと言っていたけれど、もう屋敷を出てしまったの?
あたしは送り出せなかったのかしら。


