一つの傘に入り、ガードレールに寄りかかる。道路は静かで、行き交う車ですら少ない。


「タクシー拾ってやるからな」

「……うん……」

(タクシーが来たら、さよならなんだ。あたしは帰らなくちゃいけないんだ)

 想いとは逆の気持ちが、翔吾の手をしっかり掴んだ。


 帰りたくない……もっと話がしたい……

 そう、口に出したら、翔吾はどうするのだろう。

 そんな事を思いながら、その言葉を呑み込んだ。