「…だから、放っておけない」





静かなカイトの囁きと共に、あたしの両手がゆっくりと捕まれて顔から退けられる。

何をするのかわかんなかったあたしは、




瞼に触れたカイトの唇にビクッと肩を震わせた。




目を開けると、すぐそこにカイトの顔。


「なっ何すッ…」


顔を背けるあたしの頬に這うカイトの唇。

辺りはすっかり暗くなり、あたしは後ろにブロック塀があることを忘れていた。

後ずさろうとして、背中に当たった固い感触。

逃げられないってわかって、緊張で強ばるあたし。


「かっ…カイト…」


喋ったあたしの顎のラインを、今度は舌でなぞられる。

髪の毛を持ち上げたカイトは、そのまま首筋を降下して。


「…んッ……!?」


チクリ

と、小さな痛みが鎖骨辺りに響いた。


そこでやっと離れるカイトに、あたしはヘロヘロとアスファルトにヘタリ込んだ。


心臓がうるさい。

顔が熱い。

っていうか全体的にベリーホット!!


ゼェハァと深呼吸するあたしを、立ち上がったカイトが余裕の笑みで見下ろす。


「前言撤回しろよ?ちーちゃん」

「…ななっなんのことっすか…!?」