…――カイトに、最後くらい会いたかったんだもん。
どうせゲームオーバー。
じゃあ最後は「バイバイ」って言いたいじゃんか。
短い間でも、一緒に居たんだから。
その事実に変わりはないんだから。
ぐらりと体が揺れる。
ヤバい、倒れる。
このまま死んだらどうしようかな。
最後くらい…
せめて……最後くらい……――…
「…――ッ見つけた」
ふわっと、温もりに包まれる。
心地良い声が、鼓膜を揺らし。
その存在に身体の中心が温かくなった。
見上げなくても誰かわかる。
わかってしまうからしょうがない。
――あぁ、あたし、ホントにカイトが……。
「……千早」
名前を呼ばれると、存在をより一層教えられ、あたしはいつの間にか安心して泣いていた。
「…うぅ…っく…カイトのバカぁあ…バカイトぉお…」
「うん」
「心配じだんだがら゛ね゛ぇ…!!」
「うん」
「捜して…体力ないのに頑張って走ったんだがらねぇ…!!」
「うん」
「居てくれてよがっだぁ…!!」
「うん。ごめん」
子供みたいに泣き叫んでしがみつくあたしを、カイトは何も言わずに抱き締めて、優しく頭を撫でてくれていた。


