「……あー…ない」
「は?」
名前がない…だと…!?
呆然と目を見開いたあたしにダークブルーの瞳を向けた名無し美男子くんは、少し考えてから言う。
「あんたがつけてよ」
「んにゃ!?」
「名前」
「うはっ!?」
あたしに名前をつけろってキミ!
ンなムチャな…。
んでも名前ないとか不便だし…ここは1つ!
2次元に頼る!!
「ちょっと待ってくれたまえ少年!今名前決めるから!!」
ベッドから飛び降りたあたしは、本棚にズラリと並ぶマンガを片っ端から流し読む。
なんか…なんかいい名前ないか!?
読んでは放り投げ次を手に取りという、あたしにしては超高速流れ作業を繰り返す。
そしてとあるマンガのヒーローキャラに目が止まった。
おぉ!?
見た目がそっくりなキャラ見つけたぞ!?
よしっ!
これで行こう!!
「決めた!これからキミの名前は、“一ノ瀬(いちのせ)カイト”!!」
マンガの1ページを開いて指差しながら伝えれば、むくっと起き上がった美男子くんは納得したのか頷いた。
「んじゃ、キミのことこれからカイトって呼ぶけどオーケー?」
「りょーかい」
よかったぜ…。
なんとか一段落……


