カイトの低い声に、あたしは焦るのをやめた。

それを見届けてから、カイトは女性に歩み寄った。


「すいません小町(こまち)さん。コイツ、俺が担当します」


小町さんと呼ばれた女性は、きょとんとしてから、


「そう?じゃ、よろしくね!」


ニコリと笑って離れて行った。

その後ろ姿を呆然と眺めているあたしの腕を、カイトが掴んで引っ張る。


「千早、ちょっと来い」

「な」

「いいから来い」

「……あい」




…カイトさん。


不機嫌絶賛継続中なんですね。









カイトは少しだけ休憩を貰ってから、あたしにコーヒーを差し出して向かいに座った。


一番奥のテーブルは、内装のせいもあってか薄暗い。


あたしは目の前に置かれたコーヒーを見つめ、口を一文字に閉じたまま。


「…………」

「…………」

「…………」

「…千早」

「…なっなんすか…?」

「なんでここがわかった?」


実に簡潔な質問で。

あたしは小声でぼそぼそと。


「…あ…アルファさんに教えてもらった…」

「……へぇ」

「…………」

「…………」





……き…



…気まずい!!!!(泣)