………………………(黙)。
携帯のディスプレイを見る。
異常なし。
スピーカーを眺める。
異常なし。
これは誰の携帯だろうとちょっと考えてみる。
間違いなくあたしのだ。
…………………………。
「えーっと…どちら様でございましょうか?」
『何あんたあたしにキレて欲しいの?』
「花梨様ですねわかります。」
『“様”つけるな気色悪い』
うむ。
花梨だ。
花梨の声だ。
「にゃはっ!誰からかわかんなくって出るの迷ってた!」
『あんたあたしの携番登録しとけよ!!送ったでしょうが一年前!!!!』
「忘れてた〜にゃはは〜」
『…いい度胸ねちーちゃんったら。』
「すっすんません!!!!」
『まあいいわ。あんたに電話したのはこんなムダな話するためじゃないのよ』
ムダって。
花梨さんそれちょっとキツイっす!!!!
千早さんちょっと悲しいっす!!!!
『なんか、あんた訪ねて東野瑞希って人がウチのクラスに来てっ…は?…あーはいはい。代わるわよ
……おっはーちーちゃん!瑞希くんだよ覚えてる?』
届く声が、花梨の声から、瑞希のちょっと低い声に変わる。


