「そんなことないっす」
「うそ」
「嘘じゃっ……ッ」
突然、カイトがズイッと顔を寄せてくる。
あたしは反射的に息を止めた。
暫し見つめ合ったあと、
「…ホラ」
「!!!?」
カイトが口の端を上げた。
「すぐ顔に出るし」
「……(脱力)」
「さっきも、スゲェ悔しそうな顔してたし」
「……(遠い目)」
…か…
…敵わねぇ……orz
もういろいろと敵わねぇ……。
あたしは泣く泣く立ち上がり、部屋のドアノブに手をかける。
「千早、どっか行くの?」
「おなか空いたから晩ごはん…」
「今日はインスタントじゃない?」
「…………。」
ここ数日、買い物に行ってないため手料理が作れずにいた。
だからインスタントで済ませてたんだが…
「…不満なのかいカイトさん」
「…………(無言の微笑)」
「…わかったよあるもので頑張ってみるよだからそんな目で見るでない」
あたしはため息混じりにそう答えた。
カイトは少しだけ目を細めて、
「楽しみにしてる」
そう言った。
……なんかもう、
作るしかないじゃないですか……。


