…――ットゥルルルル!!
突然の呼び鈴に、あたしはビクリと肩を震わせた。
そこで気付く。
カイトの手が、あたしをまるで守るように…。
「あ!いけない仕事…!…はい榊です…!」
携帯に出ながら、お母さんはコートを床に置いて慌ただしく部屋を出ていった。
……よ…
よかったぁ…!!
死ぬ気でいたあたしは、いつの間にか息を止めていて、ようやく深呼吸をして嫌な汗を拭いた。
「…か…カイト」
「…あぁ、もう平気だな…」
言って、やっとやっとであたしとカイトはクローゼットという名の監獄から脱出した。
転げ出たまんま床に四つん這いになり、あたしはゼェハァと胸に手を当てる。
背後で首を鳴らすカイトに振り返り、
「…っていうかですねカイトさん?」
「…ん?」
「なんであたしまで隠れなきゃならないのだぁ!!!!」
待ってました。
と言わんばかりの余裕満々顔で、カイトは答える。
「だって千早、嘘つくの苦手じゃん」
「それは…!!」
「ま、そんな怒んなよ…
ちーちゃん」
「…んにゃ!!!?」
ちっちー…!?


