だからあたしは、顔を隠すようにして、両手で目元を拭った。
「…気持ち悪い…」
「もうちょい待て」
「…ムリ…」
「気ィ紛らわせろ」
「…うっ…カイトォ…」
ほとんど唸り声みたいなあたしに、カイトは小さくため息を吐く。
そのため息にグッと喉を鳴らしてしまったあたしはなんなんだい?
「……じゃあ、ちょっとこうしてて」
カイトはそう言って、あたしの頭を自分の胸板に押し付けた。
規則正しいリズムに合わせて、あたしの背中をカイトは擦る。
鼓動は相変わらず。
でも何故か安心する。
カイトって不思議だ。
不思議な感覚がする。
「…あの子…珍しく勉強してたのね…。…にしても、部屋散らかしすぎよねぇ…」
っていうか、お母さんいつまであたしの部屋に居るつもりなんだ!!!?
早く出ていってくだっ
「ちょっと片付けてあげましょうか…。久しぶりだしね」
………………………。
どぇええぇ―――ッッ!!!!!?
いやっお母さん…!!
いいっす…!!
片付けて下さらなくて結構です…!!
だから早く部屋からバックしてくれぇ――ッ!!


