――謎だらけで、あんまり喋ってくんなくて。 クールだけど、不思議系で。 気まぐれに意地悪で。 だけど、ホントは優しくて。 君が、「千早」と、あたしの名前を呼んでくれる声が好きでした。 君の、優しいぬくもりが好きでした。 君の全てが好きでした。 せめて、夢の中だけは、二人、幸せに――… 「…千早」 …――ザァッ……! 春の風が、あたしの髪の毛を揺らした。