その言葉に。
あたしは、今まで我慢していた涙を、糸が切れたように流し出した。
声を上げて泣くんじゃなくて、ただ、本当に、唐突に。
流れ始めた涙に、自分でも驚いた。
花梨が、あたしをそっと抱き締めて、それからゆっくりと離れ。
次いで、慣れないような、ぎこちないぬくもりが、あたしを包んだ。
それが誰なのか、あたしは、すぐにわかった。
「…お…お母さん……?」
呼ぶと、お母さんは、ギュッとあたしを抱き締めた。
久しぶりに感じる母親の優しいぬくもりに、あたしは声を上げて泣いた。
こんなに声を上げて泣いたのは、いつ以来だろうか。
憶えてはいない。
もしかしたら、初めてだったかも知れない。
大好きな人と別れなければならない悲しみで泣いているのか。
母親のぬくもりを久しぶりに感じて嬉しくて泣いているのか。
わからない。
けれど、涙は止まらなかった。
きっと、どちらの感情も、涙になるに等しかったのだろう。


