「…すごぉー…い……」
「…………ッ」
瑠璃色と、茜色のグラデーション。
見慣れた街並みを、幻想的に変える風景。
まるでファンタジーの世界に居るようだ。
屋上のコンクリートでさえ、空と同色で塗りつぶされている。
そして、あたしたちも。
「……ヤバい…あたし泣きそう」
「…すげ…綺麗……」
二人して、上手く言葉にできない感情を拙い単語で表す。
フェンスに指をかけ、時間も忘れて見惚れる。
「…カイトと日の出が見れたよ…」
「…そうだな」
「一緒に過ごした街が…こんなに綺麗に見れたんだよ…」
「…うん」
「…奇跡じゃないっすか…」
「…だな」
ほんの少しの時間だけ。
人生の中のほんの一瞬を、カイトと一緒に過ごしたこの街を、新しい年の、美しい光が照らす。
その瞬間を、記憶の片隅に残せただけでも。
奇跡になる。
屋上があってよかった。
「…あたし、絶対、この風景、忘れない自信あるよ」
「…同感」
刹那の奇跡。
永遠の記憶。


