「…また、カイトの作ったミルクティーが飲みたかったな…」
喫茶店に背を向けて、歩きながらあたしは呟く。
隣を歩くカイトは、何も言わずに、ただ、あたしの手を強く握りしめた。
それは、
“ごめんね”
と、言っているような気がした。
もう、ここには来ることはないと思っていたけれど。
また来る日がやってくるとは…。
「あの部屋、真っ暗だよ」
「…そうだな」
カイトと見上げる、マンションの一室。
そこは、小町さんが住んでいた部屋。
あたしたちが、逃げ込んだあの部屋。
カーテンは見えない。
きっと、もう引き払ってしまったのだろう。
「あの部屋で、三日くらい過ごしたよね…」
「うん」
「なんか、ずっと昔みたいな気がする…」
「…うん」
静かな会話の後、二人して、黙りこんだ。


