「それじゃあ」と部屋に入って来た葵に、あたしはゲームのカセットを渡す。


「さぁ!この中からどれをするか選んでくれたまえ!!」

「何があるんだい?」

「えーっとですね……とりあえずRPGなら“KH”とか“FF”とか、もちろん“ドラクエ”もありますですよ~。

格闘ゲームとかも結構…あ、あとみんなでやる系の“スマブラ”とか…」

「……ちょっと、僕にはわかんないかな…」

「…ウチの兄さんはどんだけ三次元なんだろう…!!(唖然)」


あたしは自分の“痛い子”感に涙しつつ、みんなでやれる系のゲームを選ぶ。


「んじゃー、トコトン三次元の兄貴のために、簡単なのからしよう!」

「すまない。まったくわからないくて…」

「いいのだよ。うん。どっかの誰かさんみたいに“眠い”とか言って一緒にゲームしてくれないよりよっぽどマシなのだよ」


チクチクと嫌味を言い、あたしは背後のベッドに寝転がっているであろうカイトに視線をよこし、そしてテレビへと戻す。

隣で葵が苦笑を漏らしている。

あたしはゲーム機にコントローラーを二つ取りつけながら鼻歌を歌う。


するとそこへ。




「…俺もする」




なんか不機嫌な声色で言いながらあたしの隣に腰を下ろしてきたカイト。

にまにまと笑うあたし。


「悔しくなった?え?悔しくなっちゃった感じですか?」

「…黙れ。(怒)」

「すっすんません……」


慌ててコントローラーを三つに増やすあたしと不機嫌顔のカイトを見つめ、葵は笑う。