教室は静まり返った。
後ろの花梨でさえ言葉を失っているようで。
「一ノ瀬カイト。よろしく」
黒髪にダークブルーの瞳を持った素敵男子カイトが自己紹介してから、ようやく教室内は息を吹き返した。
「えっ何あれ芸能人!?」
「かっこいー…」
「ハーフ?」
「ちょっ写メっ!!」
いや写メるなよ。
と、最後の人に内心でツッコミ、あたしはカイトから目を背ける。
代わりに教室内を見渡して、「あー…」と密かに嘆いてみた。
ほぉら。
さっそく目がハートになってる女子が居るよー?
ヤバいんじゃないー?
あたしちょっと危機迫っちゃっているのではー?
フラグ立てただけで別ルートいっちゃう感じですかー?
なんていうあたしの不安とか露知らず、真中氏は着々とカイトをクラスメイトにしていくわけでして。
「一ノ瀬の席は、一番後ろのあれだから」
真中氏が指差した空席に、カイトは頷いただけで足を向ける。
うわぁ…
カイトが歩く机の間が素敵な花道に見えてきちゃうんですけどー。
………………………。
ってンなこと言ってる場合じゃないっす!!!!


