「…それと!

……昨日は、言い過ぎたの…。
でも!
私は自分が間違ってるとは思ってないから謝らない!」


フンッ!と腕を組む姫華に、あたしは「うん」と頷く。

姫華の言葉は、とても正しかった。

姫華が悪いなんて、あたしには到底、思えない。


「あと…く、悔しいんだけど…

諦める…彼のこと…」


“彼”と曖昧に誤魔化す姫華は、本当に悔しそうに、眉根を寄せた。


「でも、最初からわかってたんだから!
ムリだってことくらい!

だって……
……彼があなたを見る目が…すごく優しかったから…

悔しくなってあんなこと言ったけど、もう忘れて!
ここまでいろいろ一緒になって悩んで考えられるあなたたちなら、私も安心だから!

でもね、これだけは憶えておいて。


…油断してると、私がもらってくんだから!!」


姫華がビシッと人差し指を伸ばし、あたしに向けた。

あたしは少しだけ仰け反り、強気な姫華の目を見つめる。

それからあたしも、強気に笑って見せた。


「まかせてくれたまえ!」


そんなあたしたちを、小町さんが嬉しそうに眺めていた。











“一人は怖い”とあたしが言うと、

“一緒に行くから”とカイトが言った。


あたしはいつも、自分は一人ぼっちだと思っていた。

けれど、周りをよく見てみたら、きっと自分を見守ってくれている人って、たくさん居ると思う。

頼りっ放しはダメだけど、でも、一人じゃ立ち向かえないことだってあるから。


あたしはそんなに強くない。

だけど弱いままじゃいけない。


だからあたしは、一歩踏み出そうと思う。