…でも違った。
“抱え込もうとする”んじゃない。
“抱え込むしかなかった”んだ。
あたしがそうだから。
あたしが抱え込んでいたから。
それ以上悩みを増やして欲しくなくて、カイトはあたしに言わなかったんだ。
あたしが“話して”と言わない限り。
花梨が、そうしたように。
離婚のことや、葵のこと。
あたしはその頃、誰にも言わずに黙っていた。
ずっと1人で震えてた。
それに気がついた花梨が、
『全部話して』
と言ったから…言ってくれたから。
だからあたしは全部話した。
そしたら心が軽くなって、笑えるようになった。
結局はそういうこと。
あたしはいつも、誰かに助けて欲しくて、黙っているのかもしれない。
「…花梨」
返事はない。
「…ごめんね…」
「…許さないわよ…白状しなさい。
逃げたくなるまで、一体何があったのか。
…全部話して」
…花梨のことを、一度でも頼りないなんて思ったことはない。
頼りになりすぎて、困っているところだ。


