いつもの調子が戻ってきたあたしは、空になったカップを洗って、閉めきっていた窓を開ける。
グッと伸びをして深呼吸すると、清々しい朝の空気が肺いっぱいに浸透した。
昨日のことなんて、嘘みたいに…。
「…あ゛っ!!」
ハッと、とてつもなく大切なことを思い出したあたしは、ギュインッ!とカイトを振り返った。
「カイト!!」
「…ん?」
「学校どうしよう!!」
「…あー…」
カイトは眠そうな声で呟く。
たぶん一晩中あたしを抱き締めていてくれたから、眠れてないんだと思う。
…罪悪感。
すると小町さんが、ニッコリ笑顔で「それなら!」と。
「それなら、私が電話しておいてあげようか!?」
「えっ!?」
「“2人は駆け落ち中です”って♪」
「ちょっww小町さんそれはマジッスかww」
「じょーだんに決まってるじゃなーい!大丈夫!私が上手いことやってやんよ☆」
ペロッとペコちゃんみたいに舌を出して、親指を立てる小町氏。
小町さん、あなたサイコーっす。
いろいろと。
すたこらさーっと去っていく小町さんを見送ったあと、あたしはベランダに出て街を見下ろしていた。


