「…笑うでないよ花梨(かりん)」


振り返りざまにぶうたれると、後ろで頬杖をついていた花梨はあたしを見てから「だって」と続けた。


「千早(ちはや)ってばめちゃくちゃアホ子ちゃんなんだもーん」

「アホ子ってなんだアホ子って」

「普通さ、授業中にゲームして、しかもあんな大声で叫びます?」

「くっ…」


あたしが押し黙ると、花梨は「ふふん」と目を細めて口角を持ち上げた。

コンニャロッ…!

くるりんと大きな瞳。茶色い髪の毛をツインテールにした…

まさにゲームやアニメに出てくるヒロインみたいな美山(みやま)花梨!!

こちらも真中氏と同じく外見に似合わない毒舌。

くそぅ…素でツンデレとは…しかもツインテール…花梨恐るべし。


「何ジッと見てんのよ」

「いやぁ…花梨ってばホント2次元だなぁと、」

「あんた殺すわよ。」

「すっすんません…」


花梨怖い。


「…そんなだから彼氏できないのだよ…」

「なんか言ったか。」


そろそろ花梨がキレそうなので、あたしはいそいそと前に向き直った。

真中氏は黒板に向かって何か書いているところ。

うひひ…。

真中氏、あたしを見くびるでない。

ゲームがムリならマンガじゃあぁあーッ!!(救いようのないアホ子ちゃん)