あたしはそれを見届けて、数メートル向こうに佇む花梨へと足を向ける。
花梨はずっと俯いていて、あたしが歩み寄っても顔を上げようとしない。
どうしたらいいんだっけ。
こういうときどうしたらよかったっけ。
花梨が泣いてるところなんて、そう言えば今まで見たことないや。
いつか花梨が言っていた言葉が、あたしの元にも降ってくる。
『泣かれると困るの!!どうしていいかわかんないの!!悪い!?』
あたしも同じだ。
あたしも、花梨が泣いてるとき、どうしたらいいかわかんない。
いつもの調子で笑いかければいいのか。
親身になって話を聞いてあげたらいいのか。
でも、たぶん違う。
花梨はきっと、そういうんじゃなくて――…。
「……花梨、ありがとう」
気づけば、無意識のうちにそう口にして居た。
震えていた花梨の細い肩が、ピクッと上下する。
「……何がよ」
掠れた声で、やっぱり喧嘩腰に言う花梨に、あたしは小さく笑う。
「来てくれないかと思った」
花梨が少しだけ顔を上げる。
目が赤くなっているのが見て取れた。
でも、目線は斜め下を向き、地面を睨んでいる。


