グルンッ!!と180度回る勢いで振り向くと、茉莉の隣に、いつの間に来たのか瑞希が笑いながら立っていた。
神出鬼没……。
瑞希ってたぶんそういう能力者だ(違う)。
「瑞希!!お主、いつからそこに!?」
「ふっふっふ…まだまだだな…。俺が来たことに気付かないとは、詰めが甘いぞ千早!!」
「くっ…」
……とかマンガの1シーン再現してる場合違う!
頭を振って正常に戻そうとしてるあたしの服の裾を、その時誰かが引っ張った。
「むむ?」と視線を下げると、茉莉があたしを見上げていた。
「ちー姉ちゃん」
呼ばれて、その後に何が続くのか。
なんとなく予想する。
あたしの考えは最悪の事態。
が、しかし。
茉莉はニッコリと、それはもう花のような満面の笑みを浮かべて、
「ちー姉ちゃんは、すごく幸せ者だね!!」
弾むような声でそれだけ口にした。
それが一体、どういう意味を表しているのか、あたしはまったく理解できなかった。
茉莉はあたしにもう一度笑い掛けると、伊吹の方へと走って行く。
駅に入って行く二人の背中を見送りながら、あたしはなんだか泣きたくなってきた。
「伊吹っ茉莉っ!!また来年、一緒に遊ぼうねッッ!!!!」
あたしはたまらなくなって、両手を上げて振りながら、大きな声で伝える。
二人は振り返ることはせず、お互い反対の手を上げて答え、そして駅の中へと消えて行った。


