だからあたしは、“あぁ、二人とも同じ気持ちだったんだな”って思って、ちょっとだけ安心した。
息を吐き、二人の内の一人、伊吹へと視線を走らせた。
伊吹もあたしの目を見ている。
話したいことは、言わなくてもわかっていたはず。
だけど、これは自分の口から言わなくちゃいけないこと。
「……伊吹」
ゆっくりと、静かに名前を呼んだ。
伊吹は半分だけこちらに見せていた顔を、きちんとこちらに向けて、一歩あたしに歩み寄った。
「…なんですか?」
わかっているはずなのに、やっぱり聞いてくる。
あたしは、眼鏡越しに見つめてくる視線に一瞬怯みながら、でも――…
「……ごめんなさい」
…――逃げることなく、頭を下げた。
「ホントにごめん…なさい…。あの、やっぱりあたし、カイトが好きで…。
あ、でも、“好きだ”って言ってくれたのは凄い嬉しかったから…その…
……ありがとう…!!」
言えた。
噛みながらも、だけどちゃんと気持ちが言えた。
どこか間違っていなかったかなとか、いろいろ、言ったあとに考えてみたけど…
…けど、聞こえてきた言葉に、考えることはやめた。
「……やっぱり、千早さんには敵わないみたいですね」
「……へぃ?」


