「そんじゃー双子ちゃん送ってきまっす!」
そう言って、敬礼してみせる。
お母さんは寂しそうに眉毛を八の字に垂らす。
「もう…ホントは私も送ってあげたいのに…また仕事が入っちゃっただなんてぇ~!!」
泣きだすお母さんに、苦笑いを浮かべるあたしは、本音はこのまま家に入りたい。
でも、やらなくちゃいけないことが山ほどあるから。
お母さんに見送られ、あたしと双子は駅までの道のりを歩く。
この間みたいなテンションはない。
ヤケに静かで、街の中の喧騒がうるさく感じる。
どう切り出そう。
どう解決しよう。
頭の中はそればっかり。
だけど駅は動かないわけで、気づけば、目の前にはもう駅が立ちはだかっていた。
一度立ち止まり、そして駅に入って行こうとする二人。
「…それじゃ、ちー姉ちゃん、またね!!」
茉莉が振り返って手を振る。
伊吹はこちらを見ようともしない。
待って。
待った。
違う。
あたしは何事もなかったように、見送りに来たわけじゃない。
ちゃんと、ちゃんと……
……謝ろうと思って…。
「まっ待って!!」
あたしは思い切って、いや、咄嗟に叫んだ。
その声に立ち止まった二人は、呼んでくれるのを待っていたかのように、同時に振り向いた。


