お母さんは部屋に入ってきて、あたしの隣に腰を下ろす。
「んふふー♪だって、明日、双子ちゃん帰っちゃうでしょう?ほとんど会ってなかったから、最後くらい会いたいじゃない?」
「…そーですか…あたしはもう結構だよ…」
力なく笑ってみせるあたしに、お母さんはきょとんと瞬き。
「どうかしたのかしら?元気がないみたいねぇ」
「そっそんなことないっすよ!?」
「あら、お母さんに嘘つかなくても結構よー?」
「う゛っ…」
「ほぉら!言ってごらんなさい♪」
「うふふ」と笑うお母さん。
そりゃ、お母さんに一番、なんでも話したい。
…けど。
…――ダメだ。
「なんでもない!大丈夫!あ、お母さん、先にお風呂入っちゃってよ!あたしご飯作っとくから!」
「え〜」
「ね!ホラッ!行って行って!」
あたしは半ばムリヤリお母さんを部屋から追い出し、ドアを閉めてから息をつく。
――大丈夫。
――あたしは1人でも大丈夫。
「――うしっ!!」
ドアをバンッ!と叩いてから、気合いを入れる。
明日、双子が帰る前。
あたしは全部を解決してやろうと思う。


