花梨も瑞希も…。
カイトも…。
みんなあたしから離れて行っちゃった…。
ベッドに寝転がり、うつ伏せになって枕に顔を埋める。
…今年の夏は、あんまり夏っぽくない。
それはたぶん、あたしが“楽しい”って思わなかったからで。
思える時がなかったから。
…恋愛って面倒くさい。
なんで誰かを“好きだ”って思うだけで、こんなに寂しくなるんだろう。
“好き”って、すごく温かい気持ちなはずなのに。
あたしがおかしいのかな…。
枕元に置いてある携帯は鳴らない。
あたしも、誰に掛けていいかわからないから連絡しない。
…花梨、大丈夫かな。
――コンコン。
その時、部屋のドアがノックされた。
「…はぁい?」
誰だろうと、少しの期待を持って返事をすると、ドアノブが回る。
そしてゆっくり開いたドアの向こうから顔を覗かせたのは…
「千早ちゃん♪ただいまー!」
お久しぶりなマイマザーでした(チーン)。
脱力感は否めない身体で起き上がり、あぐらをかいて座る。
「おかえりー。どったの?」


