「…別にいい――…
…――なんて言えると思う…っ?」
震える泣き声でそれだけ伝えた。
安心したけど、それ以上にショックは大きかったんだ。
溢れ出した涙はどうにもできなくて、流すほかない。
茉莉はどうしてカイトと居たの?
カイトはどうして茉莉と居たの?
茉莉はどうしてカイトの居場所を知ってたの?
どうして2人が一緒に歩いていたの?
…どうして、あたしは何も知らないの…?
「…あたしが一番近くにいたはずなのに……そう思ってたのは…あたしだけだったのかな…
…あたしばっかり、そう思ってたのかなぁ…っ」
伊吹に腕を掴まれているのに、あたしの身体は崩れ堕ちる。
もう嫌だ。
もう疲れた。
もう歩きたくない。
もう何も考えたくない。
伊吹は腕を離してくれなくて、代わりにしゃがみ込んだ。
あたしと同じ目線になって、俯くあたしの目を覗き込む。
「……じゃあ、僕が代わりに近くに居ますよ」
「……それは…」
“どういう意味?”
そう聞こうとして、息が止まった。


